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IV
ジールヴェーに嫁いで来て、1週間が経ちました。私の心持ちとしては「困惑」という表現が一番腑に落ちます。
「本日の殿下からの贈り物は、エメラルドのイヤリングです」
「奥様の瞳の色のプレゼントですね!」
「今日も直筆のメッセージ付きになります」
これは私に付けられた侍女たちです。
年若い私のためにと、年齢の近い者達を集めていただいたようでした。丈の長いメイド服を着た彼女達は嫁いで来たばかりの私が寂しくないようにと、礼を欠かない程度に親しみを込めて話をしてくれます。
(良い人たちばかり)
もっと冷酷に接してほしい。
そう、自分勝手にも思う日々です。私がジールヴェー国に抱いている敵対心が肩透かしを食らったような状況でした。
もっと着る服をビリビリと裂くような嫌がらせをして欲しい。紅茶を頭から掛けたり、毒をもったりして欲しい。そうであれば私も非情になれるのに、決してここの人達はそのようなことをしないのです。
私は仮にも元敵国の王女。国務などを誰も任せようとはしませんし、私も疑われるような真似はしたいとは思いませんでした。よって私は、ひたすら暇を持て余しているのでした。
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