リーマンショックの呪い

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リーマンショックの呪い

 佐藤刑事は津田が無事であることに一安心したが、事件の真相を解明するためにはさらなる証拠が必要だと感じていた。津田の持っていたツナマヨ入りの弁当箱から得た手がかりを追って、佐藤は久里浜にある津田の友人、豊嶋の自宅を訪ねることにした。豊嶋の自宅は静かな住宅街の中に佇んでいた。灯りが暖かく灯る玄関先には、粉雪が舞っていた。冷たい風が街を包み込み、その音は夜の静寂を打ち破るように響いていた。  豊嶋は玄関のドアを開け、外に出てきた。彼の足元には軽やかな舞い落ちる粉雪が積もり、その白い美しさが暗闇の中で浮かび上がっていた。彼は少しの間、ただ静かにその景色を眺めていた。 「やっぱりこの時期は美しいな」と、彼は呟いた。冷たい空気が彼の肌を刺激し、同時に心を穏やかにする。その時、遠くの街灯の光が粉雪に反射し、まるで星のように輝いて見えた。  彼は深呼吸をして、自宅の前に広がる静かな風景を満喫した。この穏やかな瞬間が、彼の心に新たな活力と平穏を与えてくれるのだろうと感じながら。  豊嶋はまた玄関に戻り、静かにドアを閉めた。粉雪が降り積もる夜が始まった。  佐藤は礼儀正しく挨拶をし、津田との関係や最近の出来事について尋ねた。豊嶋は戸惑いながらも、いくつかの重要な情報を提供した。特に、リーマンショック後に始まった不況で津田が影響を受け、マツダでの勤務が難しくなったことや、彼が最近ローズマリーという女性と親しくなったことを明らかにした。リーマンショックは2008年、今年は2023年だから15年前だ。 「ローズマリーって誰ですか?」佐藤は興味深げに尋ねた。  豊嶋は考え込んでから答えた。「彼女は近所に住む大学生で、津田が最近よく会っていた相手です。でも、彼女と事件との関係があるとは思えないんですが…」  その言葉に、佐藤は事件のパズルが更に複雑になっていることを感じた。リーマンショックやマツダの雇用情勢、そして津田の交友関係。これらすべてが事件の背景に絡んでいる可能性があると考えた。  次に佐藤は、久里浜のマウント・マツダ工場での津田の前の同僚たちと話をすることを決めた。彼らが何か重要な情報を持っているかもしれないと期待しながら、捜査を進めていくのであった。  佐藤刑事は久里浜のマウント・マツダ工場で津田の元同僚たちと会い、彼らから重要な情報を得ようとしていた。工場の社員食堂で、昔からの友人である六田という人物に出会った。  六田は佐藤の顔を見て、驚いた表情を浮かべた。「佐藤さん?久しぶりだね。どうしたんだい?」 「六田さん、すみませんが、今、津田という人物について調査をしていて、何か情報があれば教えていただけますか?」佐藤は真剣な表情で尋ねた。  六田はしばらく考えた後、「津田君は実は記憶喪失になったことがあって、それから変わってしまったんだ。以前はクアトロというチームで活躍していたんだけど、その時に怪我をしてから…」 「記憶喪失?」佐藤は驚きを隠せなかった。「それはどうしてですか?」  六田は少しためらった後、「事故があってね。その時のことはよく覚えてないんだけど、クアトロのメンバーが一人、ツミレという名前だった女性が、特に心配していたよ。彼女は津田君に対して…」  その時、六田の話を遮るように、工場内から騒がしい音が聞こえてきた。佐藤と六田は素早くその方向に向かい、そこで衝撃的な光景を目にする。  工場の一角で、ロールケーキを抱えた女性が何者かに追われているのだった。  佐藤刑事と六田は工場内で騒がしい音を聞き、そちらに向かった。工場の一角で、ロールケーキを抱えた若い女性が何者かに追われているのを見つけた。佐藤はすぐにその場に駆けつけ、女性を守るように身を挺して立ちはだかった。 「大丈夫ですか?何が起こっているんですか?」佐藤は女性に尋ねた。  女性は息を切らせながら、「私、木田絵里香です。リアル脱出ゲームの仲間と共にここに来ていたんですが、突然火蟻のような奇妙な生物に襲われて…助けてください!」と叫んだ。  六田が工場内の安全を確認しながら、佐藤は木田絵里香の安全を確保するために行動を始めた。しかし、その時、工場の暗い一角からマントヒヒを着た人物が現れた。     佐藤刑事はマントヒヒを着た不審な人物が現れたことに驚きながらも、木田絵里香を守るために準備を整えた。その人物は怪しげな笑みを浮かべ、佐藤に近づいてきた。 「おやおや、警察官か?面白い、君たちがここにいるなんてな。でも私たちはここで遊んでいる途中だよ。どうするつもりだ?」マントヒヒは嘲笑するように言った。  佐藤は冷静に応じた。「木田さんを傷つけるつもりがあるなら、それは許さない。手を出すなら今のうちに止めておくべきだ」  その言葉に、マントヒヒは少し興味を示したように見え、その後、突然の動作で火蟻を操り、佐藤たちに襲い掛かった。しかし、佐藤は瞬時に反応し、周囲の環境を利用して対抗した。  その間、工場の別の場所で不審な火が発生していることが報告され、警報が鳴り響いた。佐藤は木田絵里香を安全な場所に避難させ、急いでその場所へ向かった。  木田絵里香は自分たちが巻き込まれた事件が『室町ハザード』って小説になってることを知り本屋で立ち読みをした。  室町って者が魔術を操り、日本を震撼させるって話だ。  📕火災の発生場所では、不審な人物がいくつかの機械に何らかの物質を注入しているのが見えた。その人物は急いで逃げようとしていたが、喜連川署から駆けつけた捜査員によって逮捕されました。  事件が収束した後、鷲鼻警部は佐藤刑事を称賛し、彼の勇敢さと決断力を認めました。火災の原因は不審な物質の投入であり、犯人は病気を患っており、その治療費を得るために犯罪を犯したことが判明しました。  佐藤は木田絵里香と再び会い、彼女に無事を確認しました。彼女は感謝の気持ちを述べ、その後もリアル脱出ゲームの仲間たちと共に、工場の謎を解き明かしていくことを約束しました。  佐藤刑事たちはそんなことが起きてるとは露とも知らなかった。  これで事件は一応の決着を見たが、マントヒヒを着た人物の正体や、彼の目的については未解決のままだった。  佐藤刑事はマントヒヒを着た人物を逮捕し、木田絵里香を安全な場所に避難させた後、事件の捜査を進めるために喜連川署に向かった。  喜連川署では、事件の詳細な調査が進められ、犯人が使用した不審な物質が頭痛薬に混ぜられていたことが判明した。犯人は生活苦から犯行に及んだことが分かり、彼の病気や貧困状態が社会問題として浮き彫りになった。  一方、マントヒヒを着た人物の正体とその目的についてはまだ不明な点が多かった。佐藤は彼の身元特定に向けて捜査を進め、関連する情報を収集することに決めた。  その中で、マントヒヒの衣装が売買されたことが判明し、その取引の履歴を追跡すると、「ローリング・ストーンズ」というコードネームで知られる人物が関与している可能性が浮上した。彼は地元のバーでマントヒヒの衣装を買ったという情報が入った。  さらに、マルサ地区で猿島という名前が浮かび上がり、そこに関連する人物がマントヒヒの衣装を買ったという情報が得られた。増田という名前も捜査に浮上し、彼らの関係と事件の背後に潜む真実を解明するために佐藤は進んでいくのであった。
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