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アッコロカムイ
波が岩肌に打ち寄せる音が、静かな海辺に響いていた。夕暮れの光が金色に輝き、風はやわらかに彼の肌を撫でた。彼はひとり、海辺を歩いていた。ただひたすら、静寂を愛でるように。
すると、遠くで低く、異様な音が聞こえた。彼は耳を澄ませ、その音の方向を見つけようとした。それは波の音とは異なる、荒々しいものだった。
「何だろう?」
彼の足取りは止まり、興味と警戒心が入り混じった。そして、そこに現れたのは、アッコロカムイと呼ばれる伝説の怪物だった。
その姿は、巨大な海の生物のようであり、鱗の輝きが夕陽に映えていた。彼の心臓が激しく鼓動し、恐怖と戦慄が背筋を這った。
しかし、彼は恐れずに立ち向かう決意を固めた。手に持つ小さなアイヌの祈祷のお守りを握りしめ、怪物に立ち向かった。
アッコロカムイは巨大な口を開けて、彼に向かって襲い掛かる。彼は瞬時に側をかわし、お守りを使い怪物に力を投じた。
アッコロカムイは北海道の噴火湾に住んでいるとされ、湾の主ともいわれた。足を広げると1ヘクタールもの大きさで、船やクジラも一呑みにしてしまうという。体全体が赤く、アッコロカムイの付近は海はもちろん、空までが体色を反射して赤く染まったという。
船がうかつに近づくとアッコロカムイに丸呑みにされてしまうので、人々は海や空が赤く染まっている光景を見ると決して近づかず、漁に出るときは用心のために大鎌を携帯したという。
アッコロカムイの謂れとして、次のような民話がある。かつてレブンゲ(虻田郡豊浦町字礼文華)の地に巨大なクモの怪物「ヤウシケプ」が現れ、家々を破壊し、土地を荒らし回った。恐れおののく人々の声は神々の耳に届き、海の神レプンカムイが、地上の人々を救うためにヤウシケプを海に引き取ることになった。そうして噴火湾内に引き入れられたヤウシケプは、姿をタコに変えられ、アッコロカムイとして威を振るうようになったのだという。
なお、民俗学研究所による『日本妖怪変化語彙』にもアッコロカムイの記述があるが、解説では「大章魚」と書かれているものの、タコとは書かれておらず、そのためか一部書籍では、アッコロカムイはタコではなく巨大な魚と記述されていることもある。
俺は瞬間移動を使いアッコロカムイから逃げた。
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