こんな世界は嫌だ！

悲劇

　夜が深まるにつれ、彼の歩みは速まった。自宅の明かりが見えるまであと少しの距離だった。しかし、その瞬間、不気味な音が聞こえてきた。振り返ると、そこには蠢くゾンビたちが現れた。

　彼は息をのむ。ゾンビたちはその肉を求めて迫ってくる。彼は全速力で自宅に向かい、必死に逃げた。道路は暗く、足下には捨てられたゴミや石が散乱していた。

　彼は一瞬で家のドアに駆け込み、鍵をかけた。背中に冷たい汗が流れ、心臓が激しく鼓動していた。しかし、ゾンビたちはドアを叩き始めた。彼は家の中で必死に隠れる場所を探し、安全な場所を見つけるためにひたすら逃げ続けた。

「間々田のときもうまくいった。今回もうまくいくさ」
　どこからか声が聞こえた。　　
　間々田！？彼は『串カツ屋連続殺人事件』の5人目の被害者だ。
　俺は声の主を探したが、結局見つからなかった。
　彼は息を切らせながら、家の中で隠れ場所を探していた。ドアを叩くゾンビたちの音が近づいてくる中、彼は一つの小さな押し入れを見つけた。急いで中に身を隠し、息を殺しながらゾンビたちの気配を感じ取った。

　心臓が激しく鼓動し、頭の中で間々田の声が響き渡った。『串カツ屋連続殺人事件』での記憶がよみがえり、彼の脳裏に疑問が浮かんだ。間々田はなぜここに？事件の真相がまだ明らかになっていないことが、彼をますます不安にさせた。

　押し入れの中で、彼は静かに自分の呼吸を整える。一方で、外のゾンビたちはますます攻撃的にドアを叩き続けている。

　突然、彼は小さなカメラを見つけた。それは押し入れの奥深くに隠されていた。不安と興奮が入り混じった彼の心は、次の展開を予感させた。このカメラには何か重要な情報が隠されているのかもしれない。

　彼は一瞬ためらったが、カメラを手に取り、その中身を確認することに決めた。そして、事件の謎を解明する鍵がそこにあるかもしれないと確信したのだった。

　寝室のドアを開けてビックリした。両目をくり抜かれた父親、首を落とされた母親、内臓がはみ出ている妹。泣いている暇はなかった。すぐ近くにゾンビが迫っていた。瞬間移動を使い家から逃げた。
　何とかコンビニのところまで逃げ、電信柱のところで号泣した。父親の笑顔、母親の優しさ、妹の明るい笑顔が彼の頭の中で蘇る。彼らがいかに家族を愛し、支えてくれたかが彼の心に強く刻まれている。この突然の悲劇に直面し、彼は言葉に詰まった。
　ゾンビを倒すためには人間を殺さないといけない。俺は悪魔になる決心をした。