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イードが変だ!
「ああ……そうか」
そんな一言にもフェリチェは身を震わせる。イードはどこか悪戯な笑みを零すと、離れるどころか、わざわざフェリチェの耳に顔を寄せた。
「……チェリは、耳がいいんだった?」
「だ、黙れ! おかしな言い方をするな! フェリチェはそんなんじゃ……」
「じゃあ、視覚を奪われて敏感なところに触れられるのは、どんな感じ?」
「ひっ、や……」
フェリチェの耳の内側に生えた、蒲公英の綿毛のように、ぽわぽわと密集した毛ごと、イードは指の腹で耳介を撫でた。
「だ……だめ、だっ……や、やめ……」
「教えて、どんな感じ?」
「しっ、知らないっ……」
「脈が速くなって、体温も上がってるね。心なしか、香りも強くなった?」
「ひゎあっ! こっ、こねくるな! 助平、変態っ」
フェリチェは一生懸命、拳で対抗してみるが、しっかり腰を抱かれているせいで距離が近く、たいして威力は出なかった。
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