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決意を新たに
どっしりとしたフェリクスの膝を飛び降りて、フェリチェは自分の尻尾を背に這わせた。敵意はありません、と示すフェネットの礼儀だ。そのまま深々と最上級の伏礼をとる。
「このアンシアには、人間とフェネットしかおりません。外の世界には、もっとたくさんの獣人族や、肌の色も様々な人族がいると聞いています。フェリチェはその者たちとも会ってみたい! その中から運命の婿を探すのです!」
「おお、我が姫はなんと勇敢で賢い娘か。よかろう」
フェリクスは鋭い爪で、髷をもう一房切り落とす。それをルタに手渡すと、あれこれと指示を出した。
「今すぐ金に換えて、フェリチェの旅支度を調えてくるのだ。それからユーバインへの船の手配を」
「はい」
「ユーバインは帝国ヒルダガルデの要衝にして、世界有数の港町。多くの出会いに恵まれることだろう。まずはそこで、運命とやらを探すとよいだろう」
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