カレは街一番のド級屑

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 放り出された断罪の剣にフェリチェは手を伸ばした。  たいして使い込まれてもいなさそうな豪奢な柄を、革のグローブ越しに握り込むや、フェリチェの手首に衝撃が走る。  不意に現れた何者かに、手首を叩かれたのだ。  剣を取り落としたフェリチェの前には、彼女を庇うように青年が立ちはだかっていた。  青年の頭には草木染の飾り布が巻かれ、短い髪とフェネットの白い耳が覗いている。フェリチェの鼻先では、白く細長い尾が揺れた。 「ルタ」  幼い時分より護衛として影に潜み、何かあれば颯爽と駆けつける青年を見上げれば、彼はフェリチェに一つ頷くのみ。静かにレナードに歩み寄った。 「な、なんだっ……フェネットの使用人風情が、僕に触れようものなら父上に言いつけてやるからな!」  フェネットの磨かれた爪は、岩をも切り裂く。  眼光鋭く近づいてくるフェネットの戦士に、温室育ちの坊ちゃんは身を竦ませ、情けない虚勢を張った。
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