【西郷隆盛】寝耳に水なんですけど

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【西郷隆盛】寝耳に水なんですけど

「西郷将軍! 大変なことになりました!」  真夜中に西郷は叩き起こされた。まだ寝ていたいが、そうはいかない。むっくりと起き上がると、敬礼をした部下がいた。急用なら、敬礼なんてする時間さえ惜しい。そこは切り替えて欲しい、西郷隆盛はそう思った。 「そんなに慌てて何事だ?」 「それが、カナダが裏切りました! カナダ軍が南下して、こちらに向かっています!」  カナダが裏切った! なんてことだ! いつかこうなるかもしれないとは思っていたが、想像より早かった。  今、西郷隆盛はカリフォルニアにいる。カナダが攻めてきたとなると、アメリカとメキシコもこの機に乗じて侵略してくるかもしれない。そうなると、陸軍は包囲されて全滅もあり得る。なんとしてでも、カナダ軍を素早く対処する必要がある。しかし、西郷隆盛は慌てなかった。ある秘策があったからだ。 「西郷将軍、早くご指示を!」 「そう焦るな。伊藤首相の立案した作戦があるだろう? カナダとの国境にはダイナマイトを埋めたはずだ。それを爆発させて、足止めしつつ大砲で攻撃すればいい。有刺鉄線もあるんだ、足止めは簡単だろう?」 「そうでした。すぐに作戦を実行します! これにて失礼します!」  カナダとの戦争は半日もかからず終わった。大日本帝国の勝利という結果で。あとはカナダを大日本帝国の領土にすればいい。西郷隆盛は伊藤博文のダイナマイト作戦がうまくいったことに喜びを感じつつも、自分が必要なくなったのではないかと寂しく思った。  ダイナマイト? 待てよ、他にも使い道があるではないか! 西郷隆盛は部下を呼ぶと伊藤博文宛に電報を打った。今度こそ、軍人として活躍してみせると誓って。
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