【伊藤博文】先進国はかくあるべし

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【伊藤博文】先進国はかくあるべし

 アメリカを完全に領土にした伊藤博文はルンルン気分だった。いまにもスキップしそうなくらいに。確かに前の戦いで多くの犠牲者を出した。手痛かったが、彼らの死は無駄ではない。全自動式機関銃という名の新兵器を手に入れたのだから。これで諸外国と同等かそれ以上に有利に戦える。  軍備の拡充ができそうな今、すべきことは経済の発展である。生活必需品を生産して売りさばき、儲ける。そして、安全な海路を確保したら戦争をして植民地や領土を広げる。この循環を繰り返せばいいのだ。今は力を蓄える時。別に焦る必要はない。 「最近海外で発明されたもので、国民のためになりそうなものはあるか?」  経済を発展させるために最新の発明を導入する。そうすれば、雇用も増えて企業も発展する。それが伊藤博文のモットーだった。 「そうですね……。電話機はいかがでしょうか」 「ああ、あの遠くの人と会話ができるという不思議な箱か」  伊藤博文は側近から電話機と聞いて、なるほどと思った。それは妙案だ。 「早速、技術者に電話の製造と電話網の作成を指示しろ。それと、電話交換手の募集もするように」  すべては伊藤博文の考え通りに進んだ。電話によって遠方の人とも連絡がすぐにとれるし、電話交換手は給料をもらえる。これによって、女性の社会進出は進む。富岡製糸場と一緒だ。今なら、女性にも選挙権を与えても誰も文句はでないだろう。  伊藤博文の提案は拍手をもって向かい入れられた。女性に選挙権を認めた国はまだ少ない。これで国内の政治が安定すると同時に、世界にも先進国であるアピールができる。一石二鳥だ。  先に女性への選挙権を認めていたフランスからは喜びをもって受け入れられた。そして、こんな話があった。「先進国である大日本帝国と同盟を結びたい」と。
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