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「嘘だぁ、ハヤミさんもてるって絶対。
かっこいいし優しいし、誠実そうだし、あと……」
照れ隠しなのか、口を覆っていた手で自分の顔をわさわさ撫でてヒロはビールを呷って口と眉を曲げた。
「ねー、恥ずかしい。ハヤミさんも言って」
「話しやすいし、良いやつだったから」
ヒロはそのまま俺を見つめて、しばらく止まっていた。
俺が首を傾げると、もそもそと口を開く。
「もうちょっとないの。かっこいいとか、かわいいとか」
「かわいいって、嬉しいか?」
んー、と小さな声を出してからヒロは目だけで笑う。
「ハヤミさんにそう思われるのはやぶさかではないよ」
俺も少し笑って、ヒロのグラスを取り上げる。
「まだビールの味よくわかんないのに
無理して飲んでるところはかわいいよ。
ここは奢るから、今度は好きなの注文しろ」
ヒロは目と口をぎゅっとして唸る。
「そういうとこー……、もー……」
嬉しそうにそう言う。
テーブルの上の、ヒロのスマホが微かに震えた。
ヒロはとてもさりげなく、画面が俺に見えないように伏せた。
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