吉祥寺

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「ごめん、痛い?」  胸から手を放して、俺の目をのぞき込んでくる。  俺は違うと首を振った。 「俺、馬鹿なことした。ごめん」  何のことを言っているか察したヒロは、寂しそうな目をして眉尻を下げた。 「……付き合う前だもん」  俺をきつく抱きしめる。 「でも、これからは駄目。俺だけにして。 傷ついたときは、俺に言って。 月久さん、自分のこと傷つけるためにしたみたいに見えるから、 俺もすごく辛い」  ヒロが俺の目元を親指で拭う。 「俺のこと、最後の男にして?」  俺が小さく頷くと、ヒロは目に少し涙を滲ませて、俺の唇にキスをした。 「ヒロ、お前……その、抱く側でいいんだよな」  俺はプロフィールにボトムであるとはっきり書いていたが、ヒロと接していた感じで、同じくボトムでもおかしくないような気がしていたので、念のため確かめた。  ヒロはものすごく恥じらってきゅっと目を閉じる。 「童貞だけど、 いっぱい色々イメトレした結果、抱きたい方です」  もそもそと話すヒロがかわいくてヒロの前髪をそっと整えて耳にかけた。 「ヒロ、今日、入れたい?」  上がる息の合間に尋ねると、ヒロは甘えた声で頷く。 「うん」  俺はヒロの肩をきつく押し返した。 「えっ、駄目? やだ?」 「そうじゃなくて、洗浄、するから」  俺が言うと、ヒロは真っ赤になった。 「あ、うん」  いそいそと俺から離れて、ベッドの上に正座する。  俺だってしたいし、本当は離れがたいのだと伝えたくて、ヒロにキスして舌を入れた。  ディープキスが初めてなのか少し驚いたように体を震わせ、されるがままに俺のキスを受け入れていた。  湿った音をたててキスを終わらせ、唇の触れあう距離で囁く。 「すぐ戻るから、待ってろ」 「……はい」  ぽーっとした目で俺を見つめたまま、ヒロは頷いた。
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