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決してうまくはないけれど、俺は泣きそうになった。
優しくて、俺のことが好きだと、大切だと、伝わるような触れ方だった。
ゆるく立ち上がったそこを、ヒロの手が握りこむ。
「ね、どうすると気持ちいいか教えて?」
ヒロの息は熱くて荒い。興奮しているのだと思うと俺の体も熱くなる。
ゆるゆると、焦らすように扱かれて背中がしなった。
「……っう、ア」
俺の嬌声を食べてしまいたいとでも言うように、唇を啄まれる。
「俺、月久さんが初めてで、これから誰ともしないんだよ?
月久さんの好きなように染めてよ。
あなたしか知らないで、あなた用の男になるの、俺興奮する」
その言葉に喘いでしまいそうになったことを誤魔化すように、俺は悪態をついた。
「お前、親父臭い」
独りで余裕をなくすのが嫌で、ヒロのものに触れる。
腹に着きそうなほどいきり立っていて、めまいがするほど興奮した。
濡れた先端を撫でると、ヒロは体を震わせる。
「あっ、それ、やばい……。
つか、童貞なんて、逆にこうでしょ」
ヒロは俺の首筋から鎖骨へとキスを繰り返しながら、熱い声で囁いた。
「俺、もう付き合えたって事実でめちゃくちゃ興奮してる。
月久さんとエッチした男全員に、
俺は彼氏にしてもらえたし最後の男ですって
マウント取りに行きたい」
本気でそう思っているような声で、俺は笑ってしまった。
その後で、じんわりと目の奥が熱くなる。
その言葉は、俺の過去を受け入れた上で、俺と付き合うことを喜んでくれていて、俺は空いた手をヒロの首に回してきつくしがみついた。
「ヒロ、好きだ。これ、いれてくれ」
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