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可愛らしくプンプンと怒るエレナにリィルは痛みを堪えつつ苦笑いをする。ふと、自分がどうやってここにきたのか疑問になる。服装も執事服ではなく、寝巻きのようなパンツスタイルの上下でラフになっていた。
「あの、エレナお嬢様。私はどうやって……」
「先程、素敵な騎士様がリィルを連れてきてくださったのよ。銀髪に琥珀色の……リィルも知っているでしょう?この国の一番優秀な騎士の彼を」
エレナの言葉にリィルは全て思い出して目を見開く。そうだ、シリウスが助けにきてくれたのだ。まだちゃんとお礼も言えていない。
リィルはベッドから飛び出してエレナの静止も無視して部屋を出ていく。
廊下を駆ける度に体の痛みは酷かった。しかし、それを気にして立ち止まることはできない。
「シリウスさん!」
エントランスに続く2階の階段の上から、ようやくリィルはシリウスの姿を見つけた。
今まさに屋敷の扉を出ようとしていた彼は、リィルの声に振り返る。
「あのっ、私……」
目つきの悪さは健在だが、頬も腫れて痛々しいリィルの姿。それに加えて、シリウスに対し申し訳ないという感情に押しつぶされそうになった表情。
「すみません……私のせいで……」
リィルが発した謝罪の言葉に、シリウスは微笑むと来た道を戻り階段をゆっくりと昇り始める。
そして、リィルの前までくるとその場に跪いた。
「君が無事でよかった」
「……っ!」
そんな騎士として当たり前の言葉を、リィルは嬉しいと思ってしまった。思わず泣きそうになって慌てて横を向いた。顔を隠すように斜めに俯いていると、シリウスの手がリィルの手に優しく触れる。そして眉を下げて、悲痛な顔をした。
「私は君の騎士になると言いながら、守らなければならない君を危険な目に合わせた。名ばかりの騎士で不甲斐ない。本当にすまなかった」
「そんなことっ!」
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