knight2:剣となり盾となり

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 リィルの物言いに貴族はたじろぐ。だが、怒りは収まるどころか増してリィルを口汚く罵った。 「たかが使用人の分際で貴族に楯突いたことを後悔させてやる。ついて来い」  その言葉に従うはずもなく、リィルは言い返す。 「話をすり替えないでくださいよ。私はただ子どもが理不尽な目にあってるのが我慢ならなかっただけですので」  そんな言い合いが続く中、貴族の護衛騎士が動いた。その気配に気づき、リィルは慌てて後ろに庇う子供を抱き込むように守る。次の瞬間ーーふわりと顔に誰かのマントが触れる。 「この者は今は私が護衛をしている。何かあるなら、まず私に申してみることだ」  シリウスがリィルの前に出て貴族にそう言い放つ。シリウスは表情こそ変わらなかったが、リィルはその声音からかなり怒っていることがわかった。 「騎士の分際で……っ!よくもこの私に生意気な口を!」  そう男が叫ぶと護衛騎士2人が動いた。するとその動きを封じるように、いつの間にかその背後に回っていたシリウスが立ちはだかる。そしてそのまま剣の柄に手をかけて、男を見下ろした。 「ーーこれ以上はおやめください」 「……っ!くっ……!」  シリウスの圧に男は言い淀むが、ここで引くわけにはいかないのか、まだ勝手なことを言い放つ。 「国一番の優秀な騎士でありながら、そんな平民につくとは……近衛騎士団も堕ちたものだな」 「私は騎士として自分の責務を果たすまで。騎士団への暴言、そこの彼への暴言、訂正していただきたい」  シリウスは己の誇りである騎士とリィルのことを侮辱したことに静かに怒りを表す。シリウスに対して、勝手なことばかり言ったのは自分も同じなのに……この人は本当に騎士として守ろうとしてくれているのだと胸が熱くなった。
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