knight3:私の主人

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 リィルは言葉に詰まる。自分の力の無さに嫌気がさして、でもあの時の……守られた時の胸の高鳴りが忘れられなくて。 「ありがとうございます。守ってくれて」  リィルは、柔らかく微笑んだ。それを見たシリウスの胸がドキンッと高鳴る。思わず片手で胸を押さえた。何だこれは?と、シリウスは戸惑うが、リィルに悟られないように平静を装った。 「あ……ああ、いや……私は当然のことをしたまでだ」 「それでも、嬉しかったから」  そんなリィルの言葉にシリウスは顔が赤くなるのを感じた。そしてそれを誤魔化すために話題を変える。 「そ、そうだ!あまり長居すると逆上せる。そろそろ出ようか」  シリウスがそう言い立ち上がる。リィルは焦り何か理由を作らないとと頭を悩ませて返した。 「えっ!あ、あー……先にどうぞ」 「リィルはまだ入っているのか?君は長湯なんだな」 「あーはい。お風呂大好きなんでーす」  乾いた笑いを漏らすリィルにシリウスは特に気にもせず、先に上がった。  扉が閉まるのを見てリィルは大きなため息を吐く。 「危なかった……」  あの距離でお互い裸で風呂にいたとか、なかなかなシチュエーションだなと苦笑いした。いつかシリウスがリィルを女性だと知った時、この日のことに対してとてつもなく驚く顔が目に浮かぶ。そして、その勢いのまま「責任をとる」などと言いそうだと思えて……笑えなかった。絶対にバレてはならないなと、リィルは硬く誓った。
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