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そろそろいいかなと思いリィルも湯船から上がる。脱衣所へいき、着ていた服がないことに気づく。ああ、メイドさんが洗ってくれているのかとぼややりと考えて用意された服を確認した。ラフっぽいのに品がある上下。身分の差はこんなところにもでてくるのかと感心しつつ、無事だったサラシを手に取った。メイドに持ってかれた下着も誤魔化しがききそうなデザインだし、ブラはつけずにサラシを巻いていた今日の自分をリィルは褒めたい。
とりあえず下着と下のズボンを履き慣れた手つきでリィルは胸にサラシを巻いていく。目つきの悪い見た目で女として気色悪がられるのに嫌気がさして覚えた技術。そんなに大きくもないが、サラシでおさえるとより動きやすくて、まぁ結果的にはよかったなとリィルは鏡に映る自分を見て苦笑いする。
「よし、こんなもんか」
そう呟いた時、脱衣所の扉を叩く音が聞こえた。
「っ……はい?」
「着替え終わったかな?そろそろ夕食の時間だ」
シリウスが呼びにきてくれた。なんとまあタイミングが悪い。リィルは早くしないとと焦り、上の服を取ろうとしたところで、足を滑らせ盛大にこけた。その音を聞いたシリウスが慌てて脱衣所に入ってくる。
「リィル!?大丈夫か!?」
「っ……なんとか、大丈夫です」
リィルはシリウスに背を向けたまま座り込んでいた。あっぶねぇ!と内心ドキドキしており、早く立ち去れ!とさえ願っていた。
そんなリィルの願いは虚しくも届かない。シリウスは心配そうにこちらを見ないリィルに声をかける。
「本当に大丈夫かい?というか、何故包帯を……まさか!どこか怪我を?」
「いえいえ、本当にっ、平気ですから」
「そうかい?ん……リィル、君……」
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