knight3:私の主人

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 シリウスが何かを察したのかリィルに近づく。ええ!なに!?とリィルは焦るが下手に動けない。シリウスがリィルの真後ろにきて、しゃがみ、その腰を掴んだ。 「細すぎないか?ちゃんと食事は摂っているのかい?」  男と誤解している故の弊害がまたきたとリィルは動揺した。細くて当たり前だ、女の腰なんだよと叫びたいが、まさかそんなことも言えず……。 「た、食べてますよ」  サラシの上からとはいえシリウスの手が腰に回っていて落ち着かないリィルは思わず身動ぐ。しかし、それがまずかったらしい。シリウスは反応のおかしいリィルを心配してさらに手に力を入れて腰を掴んだ。 「っ!?」 「ん?」 「あのっ、そろそろ離してもらえませんかね?着替えができなくて」 「ああ、すまない」  シリウスが離れた瞬間、リィルは上の服を掴み取り急いで着て脱衣所を出ていく。その勢いに呆気にとられながらシリウスも後を追いかけた。 「え?舞踏会が開かれるんですか?」  夕食をご馳走になりながらリィルはシリウスから話を聞いていた。 「ああ、そうだ。毎年この時期に開催されるんだ」 「へぇ……シリウスさんは警備にあたると?」 「ああ。私は近衛騎士団に所属しているからね。国王陛下をお守りする役目を担っている」 「なるほど」  リィルはそう頷きながら食事を口に運ぶ。そしてふと疑問が湧いた。  ーー舞踏会ってダンスがあるよな?  貴族は幼い頃からダンスを習うのが当たり前で、貴族出身者が多い騎士も例外ではないらしいとは聞いたことがある。エレナも10歳という幼さでも優雅に踊っていたのを見たことがあった。  リィルはエレナの付き人としてパーティーなどには共に参加したことがあるが、執事服でひっそりと隣もしくは壁に立っているだけである。いつもそこから煌びやかな人たちを眺めていた。
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