knight3:私の主人

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 月光のスポットライトを浴びて現れたのはシリウスだった。舞踏会の警備とあっていつもの騎士服姿だったが、それでも彼の格好良さが引き立っていた。 「シリウスさん……なんでここに?」  リィルがそう問うとシリウスは微笑んで答えた。 「執事服姿が見えたのでね、もしやと思って来てみたのさ」  ああ、なるほどとリィルは納得し頷いた。舞踏会でこのような格好をしながら、尚且つ庭にくるような者など限られている。城の関係者なら仕事中だし、そうなればシリウスが予想できたのも当然だった。 「ここでも中の音が聞こえてくるね。リィルはダンスはできるのかい?」 「いやいや、したことないですからねぇ。もししても相手の足を踏んでしまうのが目に見えてます」  苦笑いしながら言うリィルにシリウスは、はははと声を出して笑った。 「それはそうか」  シリウスはそう言うとリィルの腰に手を当てて引き寄せた。そしてそのままワルツを踊り始める。リィルは突然のことで驚きつつもステップを踏むが…… 「ちょっ!私、ダンスなんてしたことないって言いましたよね!?」 「ああ、だが君はお嬢様のお付きなのだろう?今回はなくても、主人と踊る機会がある場合も出てくる。その時に恥を欠かせる気か?練習をしておかないと」 「いやいやいやいや!もうこれ完全に足踏んでるでしょ!?絶対痛いですよ!」 「私は平気だ。気にせずどんどん踏むといい」 「はぁ?それだと練習にすらならないでしょ。というか、こんな騎士と執事が踊ってる姿誰かに見られでもしたら笑い物ですよ」  リィルは辺りを警戒しながら言う。傍目から見れば男2人、怪しげな関係と思われそうで気が気ではない。しかしシリウスは特に気にもせず、いつものように微笑んだまま。 「ああ、確かにな。……リィル」
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