knight1:私は君の騎士

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「どこか怪我はされていますか?」 「いや、たぶん平気……っ!?」  シリウスに返事をした際にリィルは急に右足に痛みを感じた。逃げている途中で捻ったのかもしれない。リィルの反応にシリウスはすぐさま心配そうにする。 「どうしましたか?」 「あー、たぶん捻ったかも」 「……ちょっと見せてもらってもいいですか?」 「あ、はい」  シリウスに言われリィルは素直に右足を出す。足首を触ると確かに腫れていて、少し熱を持っていた。これでは歩くのも辛そうだ。 「……失礼」 「へっ?ーーなっ!?」  シリウスはリィルを歩けないと判断して、お姫様抱っこのようにして抱える。突然のことにリィルは驚き口からは文句が飛び出した。 「おい!おろせ!自分で歩ける!」 「無理をしてはいけない。男性がこのような運び方をされるなど、恥ずかしいかもしれないが、そこは耐えてほしい」  シリウスは至極当然のように行動して、真面目に言葉を告げた。それを聞きリィルは眉根を寄せる。あ、男だと勘違いされていると。まあそれはいつものことだから別に気にはしないのだが、この運ばれ方は恥ずかしくてたまらない。 「いや、無理だから!顔から火が出るから!誰かに見られたらいい笑いもんだから!」 「そんな者たちは気にしなくていい。大通りに行けば馬車に乗れる。そこまでの辛抱だ」  たとえ相手が男だろうと、シリウスは騎士として真摯に対応していた。まあ実際にはリィルは女性なのだが。そんな勘違い中のシリウスは、余計にリィルの訴えなど聞く耳を持たない。 「嫌です!今すぐ私を下ろせって言ってるんですよ!」 「そんなに暴れないで、大人しくしていてくれ」
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