knight4:私の手を握って

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knight4:私の手を握って

 シリウスに胸を見られた直後。軽く身なりを整えたリィルはシリウスと目を合わせる。2人は向かい合わせにソファに座り、気まずい空気が流れる。  リィルは終わったという思いでいっぱいだった。騙していたのかと罵られるかもしれない。嘘をついていた者をもう護衛はしないと言われるかもしれない。……もう、シリウスのあの笑顔は向けられないのかもしれない。そう思うとリィルは辛くなった。たった数回だが、シリウスといる時間は夢のようだったのだ。たとえ女として見られていなくとも、彼にまた会いたいと……そう思っていたのに。 「あの、本当にすみませんでした」  もうそれしか言えないリィルだったが、シリウスは首を横に振る。 「いや、君は悪くないよ。悪いのは全て私だ。私が君の性別を確認もせずにいたから……」 「それは私が初めから訂正しなかったからでもありますし……」 「リィル、改めて確認させてほしい。君は……女性だったんだね?」  シリウスの真剣な目にリィルは頷いた。もう、言い逃れはできない。 「はい……そうです」  リィルの言葉にシリウスは「そうか……」と静かに呟く。そして何かを考えた後に、立ち上がってリィルのそばにより跪いた。 「なっ、何を……」  リィルが驚いていると、シリウスは真剣な目でリィルを見上げながら口を開く。 「私は騎士だ。君が男だろうが女性だろうが君自身と交わした誓いを違えるつもりはない」 「……え?」 「女性だとわかった今……今まで君にした数々の非礼を詫びよう。知らなかったとはいえ、本当にすまなかった」  シリウスが頭を下げる。それを見てリィルが一番疑問に思ったことは非礼だった。シリウスに助けてもらったことはあれど、失礼なことをされた覚えはない。まあ顔がイケメンすぎて隣にいると周りの注目を浴びたという点では迷惑だったが、その程度だ。
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