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「あの、シリウスさん。私とくに何かされた覚えはないんですけど」
「そんなことはないだろう!だって私はっ……君と風呂を共にし、腰まで触り、挙句にはダンスを踊ってしまった。女性の許可もなく、体に勝手に触れて……」
そこまで言うとシリウスの顔が見たこともないくらい赤くなった。
「え?シリウスさん?」
「いや、すまない。私は君を女性だと知らないにしても失礼な態度をとっていただろう」
「そんな!確かに腰に手が回されるのは恥ずかしかったですけど……ダンスは、その、楽しかったですし。それにお風呂もまぁ別に……」
リィルはされたことを思い返して何でもないと、シリウスを気遣う。すると、シリウスがさらに顔を赤くしていた。
「あの……シリウスさん?」
「……っ!ああもう!」
シリウスは突然大声を上げると、リィルの手を取る。そしてその手に口付けをひとつ。
「シリウスさん!?」
「リィル……私は、君と話す度に心地よさを感じていた。笑う君が可愛いとすら思えていた。真っ赤になる君に胸が高鳴ることさえあった」
リィルはシリウスはいったい何を言っているのかと思った。冗談を言うような雰囲気ではない。それならば、今シリウスの口から出る言葉は全て彼の本心ということになる。
「男だと思っていた君にこんな感情を抱くのはおかしいとすら思っていた。しかし、今君が女性だと知ると私は自分の失態よりも先に……嬉しさが勝ってしまった」
「嬉しい……んですか?」
「ああ、そうだ。君に焦がれている」
シリウスの告白にリィルは息が止まるかと思った。彼が自分を?冗談だろと思ったが、シリウスの目は真剣そのものだ。このままでは、以前懸念したように「責任をとる」などと言いかねない。
「あ、あのシリウスさん?それは気の迷いとか、では?」
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