knight4:私の手を握って

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「おまえ本気で言ってんの?国一番の騎士が?平民の、それも男に間違われるような見た目で、おまけにこの目つきの悪さときた、この私のことを守るって?王都限定でもウザいのに、頭おかしいんじゃねぇの?」  リィルの口の悪さにシリウスは目を丸くする。それを見て、リィルは鼻で笑った。 「だいたい、おまえも騎士ならわかるだろ?平民がどれほど肩身狭く生きてるか」 「ああ……それは知っているよ」  シリウスは真面目な顔で頷いた。騎士であり貴族でもあるシリウスなら尚更わかる。貴族と平民では身分差がありすぎるのだ。 「知っているなら話が早い。おまえ前に言ったよな?自分の主人に相応しい人物になったならって。そうしたら王都限定じゃなくて、この身全てを捧げるって。なれるわけねぇだろ?平民が逆立ちしたって貴族にはなれないんだから。なれるとしても、それなりの功績をあげるか……いや、それも難しいだろうな。平民が貴族になるのなんて夢物語だ」 「……」 「おまえ、冗談だとしても笑えねぇの。騎士のくせに夢見すぎなんだよ。身分差ってもんをいい加減理解しろよ?このクソ野郎っ」  リィルの言葉はシリウスを傷つけたはずだ。しかし彼は顔色を変えない。ただ真っ直ぐにリィルを見つめていた。リィルはそれを見て更に続ける。 「おまえはこの国の一番の優秀な騎士だろ?そんなすごい奴に守られるような価値、私にはないんだよっ!」  汚い言葉で罵って、線を引く。リィルは心の中で諦めたように笑った。これでいい、ここまですればシリウスは自分を見限ってくれる。そう思っていたのに、シリウスという男はどこまでいっても騎士だった。リィルの妄言にも屈せず、寧ろそれは真意ではないと理解しているような雰囲気でいる。  ーーなんで、なんでそんな顔できるんだよっ……
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