knight4:私の手を握って

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 リィルの言葉にもシリウスは動じず微笑むだけだ。その余裕が腹立たしい。リィルはギリッと奥歯を噛んだ。そしてそのまま叫ぶように口を開くと一気に捲し立てる。 「じゃあさ、守ってみせてくれよ?私の騎士として、私に対する悪意や好奇の目から私をっ……近衛騎士団所属のおまえに、私だけに割く時間があるとは思えないけどな」  リィルの悪意ある言葉にシリウスは一瞬目を見開いたが、すぐに微笑む。 「ああ、もちろんだ」  そして今度はその場に跪き、両手でリィルの手を優しく包み込んだ。 「私は君を守ろう。例え君に嫌われようとも、この国の有事であろうと、君を守るよ」 「なっ……」  まるでプロポーズのような言葉にリィルは動揺する。そんなリィルにシリウスは目を細めて言った。 「ただし、私は一度決めたら意志を覆さない。君がどこへ行っても、追いかける。絶対に、逃しはしない」  シリウスの纏う空気が変わった。ヒヤリとするような冷たい空気にリィルは震える。しかし、シリウスは優しく微笑んだ。 「だから、君も覚悟を決めてほしい」 「……覚悟?」  その言葉にリィルは眉をしかめる。すると、シリウスが立ち上がった。 「そう……身分差を越えるための覚悟だ」   そしてそのままリィルを抱きしめた。突然のことにリィルは抵抗もできずされるがままになる。 「な!?何してっ!」  慌てて離れようとするが、シリウスの力が強くそれは叶わない。それどころかさらに強く抱きしめられたのだった。 「おい、離せっ!……っ、シリウス!」  思わず呼び捨てにするリィルにシリウスは口の端を上げて愉しそうに笑う。 「女性に対してそのような呼ばれ方は初めてだが、悪くはないな」
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