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余裕そうなシリウスにリィルは今までと少し違うその態度に背筋がゾクリとする。好きだと思ったシリウスとは別の雰囲気の彼に呑まれそうになりそうで……リィルは思わず離れようと身を捩った。
「っ……離せって言ってるだろ!」
しかしシリウスは離すどころか、逆に抱きしめる力を強くして言った。
「嫌だと言ったら?」
耳元で囁かれる声にリィルは真っ赤になる。シリウスはそのまま続けた。
「私は君を守るよ。君が私に全て委ねて心許してくれるその時まで」
「……だから、それが迷惑だって……」
リィルが言い終わる前にシリウスは口を開く。そして、そのままリィルの耳元に唇を寄せて囁いたのだった。
「私に君の騎士であることを許したのは君自身だ。もう、諦めたまえ」
ゾクゾクするほどに色気のある声で言われ、リィルは顔を真っ赤にした。
「っ……おまえ、本当に性格悪いな。それでこの国一番の優秀な騎士とか、笑える。みんな騙されてんだろ」
「ああ、それは心外だな。でも私は、君に関しては譲る気はないからね」
シリウスはリィルの頬に優しく触れるとそのまま顔を近づけたのだった。リィルは目を見開き、どうにか抵抗しようと試みてーー。
「ストップ!ストーーップ!私の騎士なら、命令をきけっ!」
そう、迫りくるシリウスに向かって叫んだ。ピタっと動きを止めるシリウスにリィルは少しホッとしつつ、眉根を寄せて言い放つ。
「シリウス、確認だ。おまえは私の騎士なんだろ?」
「ああ、そうだとも。今はまだ近衛騎士団所属の身だから王都から離れられないが、いずれは君だけの騎士としてこの身を捧げる」
「あー、はいはい。それは今どうでもいい。……それじゃあシリウス、私はおまえの主人ってことだよな?騎士は主人の命令には、絶対付き従う。そうだよな?」
「ああ、勿論だ」
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