knight4:私の手を握って

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 シリウスの肯定にリィルは満足気に頷く。そして、とても妖艶な笑みで微笑んだのだった。 「それじゃあ命令だ。ーー今からおまえは私には絶対に触るな」 「……なに?」  リィルの言葉にシリウスは眉根を寄せる。余裕そうな表情が少し崩れたことにリィルは満足そうにして、言葉を続けた。 「私に触れずに守ってみせろよ。できるだろ?なんたっておまえはこの国一番の優秀な騎士なんだから」  リィルはシリウスに触れられるだけで、いっぱいいっぱいだった。油断すると全てを受け入れてしまいそうになるほど。シリウスが好きだから、そうなるのも仕方がない。しかし、それで流されてはここまで彼に対して酷く拒絶している意味がない。 「できるよな?シリウス」  今度はリィルがシリウスに余裕の笑みで返す。その表情にシリウスは目を細めた。 「ああ、勿論だ。私は君の騎士だからな」 「それは良かったよ」  そう言って二人は見つめ合うと、静かにシリウスがリィルから手を離した。そしてその場に跪く。 「王国近衛騎士団所属、シリウス・バイオレット。この身の全てを我が主、リィル・テンペスターに捧げると誓おう」  シリウスは上目遣いでリィルを見つめる。その瞳には隠しきれない熱が籠もっていて……。 「っ……」  思わず息を呑むリィルをシリウスは愛しそうに見つめる。そして立ち上がると、今度はゆっくりとリィルに近づいていった。 「な、なんだよ」  後ずさるリィルだが、すぐに壁に背が当たる。そんなリィルを追い詰めるように、シリウスは壁に手をつき、ぐっと顔を近づけた。それに対してリィルは慌てる。 「おいっ、触るなって命令しただろ!」 「ああ、もちろん触れないとも。しかし、この距離なら問題ないだろう?」 「っ……近いんだよ」
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