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リィルがシリウスに壁ドンをされて動揺していると、彼は優しく微笑んでそのまま顔を近づけた。そして、その唇が触れそうになった時ーー。
「ーー君が、いつまで耐えられるか楽しみだ。いつでも私に触れて欲しいと許可してくれて構わない。私は騎士として君を守る。しかし、それと同時に男としても君を愛そう。……覚悟したまえ」
「っ……」
至近距離で囁かれる言葉にリィルは顔を真っ赤にする。そして、慌ててシリウスを押しのけようとした。
「っ!おい、どけって!命令だ!」
「ああ、それは従わなければならないな」
シリウスは壁についていた手を離すとすぐさまリィルの耳元に唇を寄せて囁く。
「君は私のものだ」
「〜っ!?」
背筋がゾクゾクする。その反応に満足そうにしてシリウスは一歩後ろに下がった。リィルはシリウスを睨みつけると、鼻で笑う。
「私が主人だろ!おまえが私のものだろーが」
「騎士としては君にこの身を捧げる。一人の男としては、君を全て私のものにする。つまり、私たちはお互いに捧げ合うということさ」
「な……なんだよそれ……」
シリウスの言葉にリィルは目を丸くする。その様子にシリウスは愉しそうに笑った。
「私は純愛主義なんでね」
「どこがだ、変態やろーが」
「リィルのその口の悪さも慣れてくると可愛く思えてくるね。強がってる猫みたいで」
微笑ましいという風に笑うシリウスのそれが嫌味に聞こえたのかリィルはイラッとして言い返す。
「は?私は猫じゃねぇよ!おまえ、目悪いだろ!」
「いや?視力は良い方だ」
「……知ってるよ。その節穴みたいな目が良いことぐらいな!」
いつも遠目からでもリィルに気づき、助けにきてくれたシリウスを思い出してそう口にする。
そんなリィルの言葉にシリウスは微笑む。その眼差しがとてつもなく甘くてリィルは動揺した。
「っ……」
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