knight1:私は君の騎士

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「そうか。なら良かった」  シリウスはまた歩き出し、リィルもそれに合わせて歩く。ちゃんとリィルの歩幅に合わせて歩くシリウスに舌打ちをしてしまったリィル。そんなリィルにシリウスは首を傾げた。 「どうかしたのか?」 「……っ!い、いや、なんでも……」  急に顔を覗き込まれるようにされ、リィルは驚きながらも言葉を返す。しかし内心ドキドキと心臓が煩かった。その顔は反則だろと叫びたくなるくらい綺麗な顔で、見惚れてしまうくらいだ。  ーー本当に顔はいい……これでエスコート気質の騎士らしい優雅さもあるのだから同じ男なら誰も敵うまい。まあリィルは男ではないので、その戦いには参戦せずにすんだが。 「ところで、目的地はどこかな?」 「あー、いや。実はもう用事は終わってるから」 「ふむ、それでは馬車まで送ろう」  歩いてる最中も人にぶつからないようにと配慮はしているし、気遣いも完璧。リィルは完全にエスコートされている。 「君は執事としては長い方なのかい?」 「……あ?ああ、はい。まあそうですね。普段はお嬢様つきの仕事をさせてもらってるんですが、週一程度でこうして王都にお使いを頼まれます」  リィルは執事と言われ一瞬反応が遅れた。執事服を着てはいるが、執事では決してない。今の仕事もお嬢様に気に入られて相手を任されているくらいで、簡単に言えばお世話係のようなものだった。 「なるほど。君は騎士ではないが、君が仕えるお嬢様にとっては騎士のようなものなのだろうね」 「どうでしょう。まあ、騎士なんて大層な方達と同じにされると大変恐縮ですが。シリウスさんは、近衛騎士でしたよね」 「私の名を知っていたのか」 「もちろん。この国で知らない人はいないくらい有名ですから」 「ふふ、それは光栄だな」
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