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シリウスは壊れ物を扱うように優しくリィルの手をとり、手の甲にそっと口付ける。その次は掌、首、頬、鼻、瞼、髪。今まで我慢していた想いを伝えるかのように、優しく、甘く、口付けを落とす。
「んっ……ふっ……」
くすぐったいのか、リィルから甘い声が漏れる。それに気をよくしたシリウスはリィルの唇に口付けた。角度を変えて何度も啄むようにキスをすると、リィルは苦しそうに息継ぎをする。その隙に舌を滑り込ませて、深く口付ける。
「んんっ!」
逃げようとするリィルの頭を手で押さえ込んで、さらに深く口付ける。歯列をなぞり舌を絡めるとリィルの肩が大袈裟なくらい跳ねた。そして、ゆっくりと唇離すと、銀の糸が互いを繋ぐ。
シリウスは狂喜に満ちた顔をしていた。
「リィル……ようやく、私を受け入れてくれたんだね」
「……っ……」
リィルは真っ赤な顔でシリウスを睨む。しかし、その瞳には隠しきれない熱情が宿っている。そのことが嬉しくてたまらないとばかりに、シリウスはリィルを抱きしめた。そして耳元で囁く。
「もう逃さない」
その言葉にリィルは小さく頷いた。そんなリィルの顎を掴んで上を向かせると、再び深く口付ける。
「んっ……ふっ……」
今度はリィルも逃げなかった。ただ、お互いを求めるように、二人は長く、永く……唇で愛を語る。
「っぷはぁ……がっつきすぎ……」
リィルが肩で息をしながら、シリウスを睨みつける。しかし、その顔は真っ赤に染まっていた。
「リィルが可愛いのが悪い」
「っ……黙れ!」
真っ赤な顔で口を塞ぐリィルに、シリウスは「嬉しい」と笑った。そんなシリウスに毒気を抜かれたのかリィルは呆れた顔をして笑った。その笑顔が愛しくてたまらなくて、シリウスはさらに強く抱きしめる。そして、耳元で囁いた。
「君を愛している」
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