knight6:逃さない、愛している

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 甘く蕩けたような声と熱を持ったシリウスにリィルは抵抗するが、抱きしめる腕は強くなるばかりで抜け出せない。    ーーかつてシリウスは狂気まがいの愛を彼女に向けて、リィルはそれを言葉の凶器で壊した。  しかし、最後には受け入れられ、二人は手を取り合う。淡い恋心を狂うほどの愛に変えた、そんな彼がたどり着いた先にいるのは……狂喜するほど愛しい相手。 「私から逃げられると思っているのか?きみのことをきみ以上に理解しているのは私だけだ」 「怖い怖い!」    その綺麗な琥珀の瞳を獰猛な獣のような目つきに変えて、シリウスはリィルを見つめる。彼の煌めく銀髪が鼻先を掠めるほどの距離でリィルは、ただただこの現状に不満を言いつつも幸せそうに笑った。 「愛している、リィル」  そう言ってシリウスは愛しくて堪らないとばかりに、リィルに深く口付けたのだった。  ーー今日も二人は睦まじく一緒にいる。  そんな二人を祝福するかのように、イカリソウの花が咲き乱れていた。 Fin.
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