2回目

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2回目

 もう3月なのに冬が戻ったようなそんな寒い夜。  僕はまた黒尽くめの彼を拾った。  相変わらずに酒臭い匂いで大学のベンチで寝ていたからだ。  本当の事を言えば、もうこれ以上彼にかかわりたくない。  だけれども、やはりこのまま放置して死んでしまったら後悔する。  それにこの3月で僕はもうこの大学を卒業した。  大学に来たのはたまたま書類手続きのためで、僕はもうここに通うことはない。  だからきっと彼に会うのもこれできっと最後だ。  だから僕は彼への感情に蓋して、今回こそただの善意で彼を連れて帰った。
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