王子様を見つけた日②

1/1

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

王子様を見つけた日②

 五月四日、雨上がりの空に虹が出てた。  絵を描くのに疲れていたわたしは、外の空気を吸うことにした。公園に行って、濡れた芝の上で体を湿らせている猫さんと出会う。  猫さんはわたしが触っても逃げる様子はない。君、オスかな、メスかな。お友達になってくれる?  誰かの気配があったけれど、わたしは気にしない。今は猫さんと遊んでるんだもの。  この人もおそらく、虹を見に来た人。お仲間だね。  少し、親近感を感じて振り返る。  あれ? 見たことのある人。  だけど、どこかが違う。そう、メガネがない。  えー。素顔のままの方がずっといいんですけれど。生徒会長さん?   いつものあのダサいメガネは伊達メガネ?  わたしはさりげなさを装って、忍田先輩に声をかけていた。  先輩もどこか恥ずかしそうにしてる。  わたしたち、似てるのかな。  気がついたら、この後行く予定の場所にお誘いしてた。 「用事ないから、ついてくよ、どこでも」  なんて、会長は言って、やっぱりすごく照れ屋なのか、頬がピンク色だー。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加