after the rain〜雨上がりの朝に〜

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「葵ちゃん、何考えてる?」 口当たりのいいカルーアミルクから ハイボールに移行し、 すっかりほろ酔いの川瀬に尋ねられ、 首を振った。 「何でもない」 もう昔のことだ。宮嶋はいない。 川瀬に会ってから既に2時間が経っていた。 「雨、まだ降ってるのかな」 「降ってるかもな」 「今夜」 「うん」 「恋人と付き合い始めた日だったんだ」 「そうか」 「って、何かごめん。自分の話」 「大丈夫。自分の話ついでに言うけど、 実は9月25日は俺の誕生日でもある」 「えっ」 「はは、知らなかっただろ? もう26日になってるし、今更だけどな」 「おめでとう‥‥」 「ありがとう」 「そんな日に川瀬に迷惑をかけて」 「いや?こんな日に連絡をもらえて 嬉しかったぜ?ありがとな」 「川瀬」 「ん?」 何となく思うところがあり、 俺は川瀬の肩に寄りかかった。 「もう時効だから話すけど、 俺が川瀬を疎遠にしたのには理由があって」 「うん」 川瀬が再び俺の肩を抱いた。 「あれから宮嶋とどれくらい付き合ってた?」
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