【渋谷課長・仕事中】

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「はい、どうぞ。お入りなさい」 ドアの向こうから、低く渋い声が聞こえた。 波瑠は、緊張がピークに達したが、震える手でドアを開けた。 「渋谷課長!」 波瑠は、叫んだ。 そこには、渋谷課長が立っていた。 「波瑠?! どうして、ここに?」 その渋谷課長の前には、大きく立派なデスクがあって、そこには、平川優一知事が、いた。 平川知事は、知的で渋い、口髭のイケメンだ。 テレビでは、よく観るが、実際に会うのは初めてだった。 波瑠は、渋谷課長に説明するのも、もどかしく平川知事に向かって、一気に叫んだ。 「平川知事! 渋谷課長をクビになんてしないで下さい! 渋谷課長は、全然悪いことなんかしてません! 勝手に雑誌に写真を撮られただけなんです!」 「君は、、?」 平川知事が、不思議そうに、波瑠に訊いた。 それに、渋谷課長が答えた。 「私の妻です。元本庁職員でした。すみません。妻が、こんな、つまらないことを、、」 急に、平川知事が、大声で笑った。 「こりゃ、一本取られたな。つまらない、妻か! あははは! ダジャレじゃあ、僕は負けないぞ」 そう言うと、平川知事は、考えこんでから、手を打って、波瑠に顔を向けた。 「奥さん!」 「え? あ、はい!」 波瑠は、何を言われるか、と構えた。 その波瑠に平川知事は言った。 「あなたの旦那さんは、イケメン、、。ラーメン、イケメン、僕、ちじれメン!」 「は?」 波瑠と渋谷課長は、ポカンとした。 その二人に、じれったそうに、平川知事は、説明した。 「だからあ、知事だから、ちじ・れメン!」
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