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『COOL』の表紙の撮影は、無事に終わった。
渋谷課長は、いつもの仕事をしている自信満々な感じで、やっぱりカッコいい、と波瑠は思った。
しかし、渋谷課長は、波瑠の前では不安そうだった。
「私のような素人が、表紙で、雑誌が売れるのだろうか、、」
渋谷課長は、本当にたまにだが、自信をなくし、捨てられた子犬のようになる。
結婚前も、渋谷課長は、自分は人を蹴落としてきた悪い人間だと、悲しそうに言っていた。
波瑠は、そんな渋谷課長を、思わず抱き締めたくなったものだ。
今回も、また捨てられた子犬状態になっていた。
それでも、次の撮影があった。
渋谷課長は、チェスターコートにマフラーをしてスニーカーを履いたカジュアルな服装になっていた。
でも、波瑠は、髪を下ろして頼りなくなった渋谷課長の様子を見て、まさに捨てられた子犬だ、と思ったのだった。
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