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しかし、ファッション雑誌の撮影というものは、モデルの気持ちなど容赦がなかった。
「渋谷さん! 次は、これに着替えて! ヘアスタイルも変えますね」
そう、板垣が言った。
あの、一番最初に会った『COOL』のイケメン編集者である。
その板垣が、主に撮影の指揮をとっていた。
渋谷課長は、言われたタンクトップにジーンズ、そしてサンダルというワイルドな格好に着替え、髪型もヘアスタイリストに変えられた。
「渋谷さん、ちょっと、歩いてみて下さい」
渋谷課長は、言う通りに歩いた。
「いや、もっと野性的に。そんな沈んだ顔してないで、ワイルドな感じで!」
板垣の要望で、渋谷課長は、捨てられた子犬の顔から、ワイルドなイケメンに、無理やり変えた。
「いいですね! そんな感じです」
板垣は、満足そうだった。
しかし、渋谷課長は見ている波瑠が明らかに分かるほど、消耗していった。
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