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出演するワイドショーは、人気がある番組だったが、司会者の元お笑い芸人が、辛口で有名だった。
波瑠は、渋谷課長と一緒に出て、渋谷課長がどんなに県庁の仕事を愛しているか、視聴者に訴え、もう騒がないでくれるように頼むつもりだった。
しかし、、。
波瑠の出演は認められず、観客席から、見るだけにされてしまった。
そして。
番組は始まり、芸能ニュースが一通り終わってから、今日のビッグゲストというコーナーになった。
そのビッグゲストが、渋谷課長だった。
渋谷課長が登場すると、観客席から歓声か上がった。
渋谷課長が、緊張した面持ちで、席に着くと、早速、司会者が言った。
「すごい人気ですね、渋谷誠さん。県庁職員がこんなに騒がれては、大変でしょう」
渋谷課長は、答えた。
「はい。正直、かなり困惑しています、、」
すると、司会者は、意地悪そうに、ニヤリと嗤った。
「いやいや、実はそれが目的ではないんですか?」
「え?」
「この人気を利用して、芸能界デビューしようとか、考えてるんじゃないですか? 公務員なんて地味ですしね、、ああ、でも、一度公務員になってしまえば、寝てても給料がたんまり貰えるらしいですよね?」
波瑠は、観客席から聞いていて、腹がたった。
どれだけ、渋谷課長が一生懸命、頑張って働いているかも知らずに、勝手なことを!
だが、渋谷課長は、司会者に冷静に返した。
「昔はそういう噂もありましたが、今は違います。公務員も一般会社員と同じく、厳しい戒律のもと、全職員が、真面目に一生懸命働いています」
それを、聞いた司会者は、鼻を鳴らし、嗤った。
「当事者のあなたが言ったって、真実味がないですよ。現にあなたは、公務員でありながら、モデルの仕事もしてるらしいじゃないですか? どの口が言うのか!」
波瑠は、もう、我慢ができなかった。
波瑠は、観客席から立ち上がると、スタジオの舞台にかけ登った。
普段は大人しい波瑠だが、渋谷課長のことになると、見境なくなってしまうのだ。
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