targets 0

10/10
前へ
/174ページ
次へ
ユンソルが遊び場に戻って来たのは、あれから2週間後だった。厩に行って、馬に餌をやる手伝いをしてから、遊び場にある切り株の椅子に座った。 近くに干し竿があって、ちょうど母が洗濯物を取り込んでいるところだった。切り株に置き去りにされたパチンコを手に取り、ユンソルは的めがけて撃った。放ったボールは、的を外れて厩のほうに飛んでいった。 ユンソルは的を外したのだ。 母はその様子を見てから、厩にボールを拾いに行った。それからユンソルのほうに行き、隣の切り株に腰掛けた。 「ユンソル。 お母さんはあなたのことをいつだって 誇りに思ってる。 このことは忘れないで。」 ユンソルは母を見つめ返し、それから的のほうを見た。何も答えなかった。 彼の手の中にボールを入れる。 「これはもう…いらない」 ユンソルがようやく口を開いたかと思うと、パチンコを草の上に放り投げた。 「ユンソル」 「僕はお母さんとお父さんを困らせたくない」 「………」 「僕に銃は持たせたくないよね」 ユンソルは泣きながら、母を見た。母は頭を振り否定しようとした。 「あれから お母さんとお父さんの気持ちを考えたんだ。 二人は僕を心配している。 銃を持ったら、きっともっと心配になって… 毎日泣かせちゃうんだ。 そんなの、僕はヤダよ。」 「ユンソル…お母さんはあなたには 好きなことをやって欲しいと思ってる。」 母は彼の手を取りながら言ったが、ユンソルはその手を離した。 「僕は熊を撃ちたいんだ」 continue…
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加