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targets 1 熊
体の横にまっすぐ立てたボルトアクションライフルは、ユンソルの頭を優に越した。父が銃弾そっくりの形にくり抜いたゴム弾がウエストポーチの中に入っている。古めかしいライフルは、ロシア製のTOZ-17である。
あれから両親は二晩かけて話し合い、ユンソルのやりたいことをやらせるべく、安全を確保した状態で狩猟につれていくことにした。しかし熊を撃つまでに、彼は色んなことを学ばないといけない。
ユンソルは茂みに隠れて、先にいるウサギを見た。この銃を撃つ時は排莢口から直接指で1発ずつ装填する仕組みになっている。弾を指で押し込んだら、ボルトを前進させてハンドルを下ろす。
雷管を叩くファイアリングピンは大きく重たい。ボルト後部の前進は目で追えるくらいに遅い。
ここまで大きなファイアリングピンとボルトのために、強い力で雷管を叩き発火させる。
ゴム弾は初速は出るが、ターゲットの領域に入ると精度が落ちる。ウサギの体にコツンと触れて、ゴム弾は落ちた。だがユンソルには十分満足だった。
ウサギはゴム弾が当たると、慌てて跳びながら去っていった。ウサギがいなくなると茂みから飛び出して、落ちたゴム弾を大事に拾い、息を吹きかけて砂を落とした。
ゴム弾をウエストポーチにしまおうとした時、近くで銃声が鳴った。小鳥が飛び立ち、ユンソルは銃声のした方へ走り出した。
「はあ…はあ…はあ…」
息を切らして走ると、その先で首を撃たれた鹿の体が寝そべっていた。血がダクダクと流れていた。
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