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茂みを掻き分けて父が出てきた。ハンターナイフを取り出すと、鹿の皮を剥いだ。臓物を取り出してから、軽くなった鹿の体をカバーシートで覆った。それを持ってきた荷車に乗せると、引き出した。
「母さんは鹿肉で、シチューでも作るだろうな」
嬉しそうに父は言って、先を歩く。
ユンソルはライフルを肩に提げて、あとをついていった。
「ユンソルはどうだった」
「ウサギを一匹。」
父は振り向いて息子の顔を見た。日焼けで頬が赤くなっているのか、恥ずかしいから赤いのか分からない。
「獲ったか?」
「いや。脅かしただけだよ。」
「そうか」
父はまた荷車を引いて歩いた。
「この辺りは熊がいないんだね」
ユンソルが聞くと、父は「なんで分かる」と聞いた。目線は前を向いている。
「地図だよ。
お父さんがつけてた地図には、
東の方面には熊は出てこないみたいだった。」
「賢いな。地図をもう読めるのか」
「うん」
ユンソルが狩猟に出かけることを、母は快く思っていない。それは彼がライフルを持って帰ってきたときに見せる顔でよく分かった。決してライフルを持つ息子を見ない。目をそらしたまま「おかえり、手を洗っていらっしゃい」と言うからだ。
だから食卓で狩猟の話も、銃の話もやめておいた。
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