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targets 14 奇襲部隊
"奴等はハイエナのように群れる"
トゥクはライフルを構えながら、前方から聞こえる彼らの吐息に耳を澄ましている。リーは彼らより二歩前に出て、ご自慢のマクミランを構えていた。
ユンソルは肩に力が入っているようだが、緊張を顔には出さなかった。トゥクはその冷静さに感服すら覚える。
「何人?」
リーが尋ねる。
不意打ちをくらったトゥクだが「8人前後ですね」と言った。
「悪いけど、撃ちながらでいい。
位置を教えてくれるかな?」
「スポッターとスナイパーを兼任ですか」
「スナイパーは時々でいい。
君の前と後ろには優秀なスナイパーがいる。」
リーは優しい顔でユンソルを見た。ユンソルは二人の会話が耳に入っていない。ただ前を見据えていた。
群れから一匹のハイエナが飛び出した。
一声あげた武装兵から茂みから飛び出してきて、容赦なく鉛玉を連打した。三人は一斉に散らばり、支柱の裏側に身を隠した。
トゥクとリーが同じ支柱の裏に隠れ、ユンソルは群れから100mと近い距離にある鉄製のゴミ置き場に隠れた。
男の首を狙ったユンソルは、静かに呼吸をした。
またあの感覚が蘇る。
辺りが真っ白になり、ターゲットと己だけの世界。ライフルは指になじみ、体の一部のように、己の呼吸が銃身に流れ込む。
緊張はライフルに読まれる。
左手の人差し指がトリガーに食い込んだ。少しだけ体が後方に傾いた。銃弾が前に飛び、首ではなく耳たぶを撃ったらしい。
「くそ…」
ユンソルは舌打ちをした。
「外した」
トゥクが呟くと、間髪入れずにリーのマクミランが怒鳴った。男は頭を撃ち飛ばされて倒れた。
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