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「煤だらけだね」
真っ黒な煤に覆われて疲弊しているエンとタジを見て、リーはクスクス笑った。エンはそのリアクションに「なに笑ってんスか!」と苛ついているが、タジは煤のついた爪を見ている。
「エンさん、タジさん。
ご無事で何よりです。」
ユンソルがホッと息をつくと、怒っていたエンの顔が和やかになり「ユンソル〜」と抱きついた。すかさずリーも「俺も〜」とハグしようとすると、エンに弾かれた。
「淋しいよ」
「自業自得」
トゥクがあっさり言い放った。
「中にいた男は人質に見えたんですよ。
実際に揉めていたし…」
エンは渡された濡れタオルで煤を拭きながら、事情を話した。
「揉めてたの?」
リーが聞き返すと、タジのほうが「声がしました」と淡々と答えた。
「その声が言い合いしているように
聞こえたんです。」
「つまり予想ってこと?」
エンは気まずそうに目をそらす。タジはエンの顔を見てから、リーを見上げて「はい」と答えた。
「予想で話さない。」
リーに言われると、タジは「申し訳ありません」と言った。リーの暑苦しい視線を感じたエンは鼻息荒く「すいませんでした!」と投げやりに言った。
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