7人が本棚に入れています
本棚に追加
「山岳隊に俺の従兄弟がいる。」
唐突にタジが話し始めたのは、二人が店内をでてからのことだった。
「その従兄弟は、軍隊に入る前にバイトを転々としていたんだ。
レジ打ちをやっていた従兄弟が、こういう手を使っていた。
最後はバレてクビになることを繰り返していた。」
タジが笑いもせずに、淡々と話した。
「バレるって分からなかったんですか?」
驚きながらユンソルが聞くと、タジはまた「うーん」と考えた。
「信頼を図っていたんだと思う。」
タジがぽつりと答えると、ユンソルは聞き返した。
「従兄弟は、自分のためだけじゃなくて、他の安月給のパート仲間の分もくすねたんだよ。」
「そうなんですか。」
「だけど、毎回 チクられちゃうんだよね。」
「え…」
タジは話していて眠くなったのか、まぶたをこすり始めた。
「くすねた仲間にチクられたってことですか」
「うん。」
「ひどい…」
最初のコメントを投稿しよう!