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「ユンソルのスポッターも、俺は良いと思うぜ」
ジョンスは石の上に腰掛けて、靴紐を結びながら言った。
「キムですか?」
「ああ」
当然のようにジョンスは頷いた。
「お前のことをよく観てる。」
「…………」
今まで感じたことがなかった。
ジョンスから見れば、キムはしきりにユンソルの様子を気にしていたという。
「心細いっていうのもあって、お前に頼っているのかもしれないけどさ。
頼られるって、俺達スナイパーにとってはエンジンみたいなもんだろ。」
頼られることに満足していてはいけない。ユンソルはそう自覚していたが、ジョンスのような柔軟な考えも良いのかもしれない。まるで悪意を感じない言葉だった。
(エンジン…か)
「まあ、頼られすぎても
故障するんだけどね」
「ジョンスさんも、故障するんですか?」
「ないよ。
程々に力を抜いてるからさ。」
ジョンスはニヤッと笑ってから、ユンソルの肩を掴んだ。
「お前はまだ緊張しているからな。仕方ないか」
「緊張しているように…見えますか?」
「見えるよ。
危ういな、そのままじゃ。」
不安そうな顔になったユンソルをからかって、ジョンスは「冗談だよ」と笑った。
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