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「人質は生きてると思いますか?」
ユンソルは、ライフルの手入れをやめてトゥクを見上げた。トゥクはまだ外を警戒している。
「生きてもらってないと、困るけどね。」
トゥクは苦笑いして答えた。ユンソルも頷く。そばにいたホアンは、ユンソルの洗い直した包帯をくるくると巻いてくれている。
「やっぱり米軍の協力者だから、
人質をとって交渉しようとしているんですよね。」
「肝心の米軍様は非協力的で笑っちゃうよね〜」
隣でホアンがケタケタ笑うが、自虐的である。精鋭部隊といえども、タリバンの本拠地から隊員を救出することは困難を極める。
「出来ないことはやらないよ。」
彼らの話を聞いていたのか、階段の下からリーの声がした。ゆっくりと彼らのいる部屋にあがってきて、トゥクの隣に立つ。
「俺も、仲間は失いたくないからね。
どっかの隊長さんとは違うんだ。」
第二基地でほとんどの隊員を殺されたアジョウを侮辱しながら、リーは言う。
「でも実際、無計画でしょう。」
いつも通り、トゥクが厳しく非難した。
「いや。
まだ明かしてないだけさ。」
「はい?」
「俺はちゃんと頭の中で考えてるよ。」
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