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男はボストンバックのチャックをぎこちなく開けると、その中身が見えるように画面を向けた。
ユンソルは次の瞬間、息を呑んだ。
スコープはボストンバックの半開きになった口を映している。トゥクもまた、その隣で硬直していた。そこには人の頭が入っていたのだ。
ユンソルは一度目を瞑ったが、意を決してスコープを拡大する。そして照準を男の頭に合わせた。
「距離は700。風もなく、非常に撃ちやすい。
絶好の機会を殺しの神が与えてくださった。」
まるで読み聞かせるかのように、トゥクが穏やかな口調で告げる。ユンソルは生唾を飲み込むと、じわじわとトリガーを絞り始めた。
「待て」
その時、無線からリーの声がした。ユンソルは我に返る。
「………タリバンですよ」
ユンソルが反論したが、リーは許可を出さない。
「人の頭が入っているんですよ」
ユンソルは一呼吸おいて、言葉をつなぐ。
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