targets 16 頭首

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「殺しの神様がいるなら、 俺のこの才能は愛されている証拠ですね」 トゥクに話しかけているのか、もはや分からない。口ずさむような穏やかな口調がいつまでも続く。その間にも、ユンソルの視界からトゥクは消え、鞄は消え、噴水は消え、待ち伏せていた男は消える。 やがて、ムハサが従える二人の男も消えた。 「今日ほど、 その才能を愛したことはありません。 俺は今、すごく嬉しいんです。 この瞬間のために、 スナイパーをやっているんでしょうね。」 「ああ、そうだな」 トゥクも半ば笑いかけていた。 これほど緊張する場面で、ユンソルは笑っているのだ。トゥクは自然と双眼鏡をおろして、ユンソルに見入った。 (手本のような狙撃体勢だ。 これほどきれいなフォームを観たことがない。 この男は化ける。 もっと化けるぞ。) ユンソルは音のなくなった世界で、ムハサの引きずる足音を聞いていた。彼の息遣いが指先まで浸透する。 「喰らえ…」 ユンソルのわずかに開いた唇から低い声が出た。M40A3が怒鳴り声をあげた。その音は部屋中の壁を這いずり回る。 ムハサの頭部が一瞬にして弾け飛んだ。 護衛の二人はすかさず振り向いてみせる。
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