targets 16 頭首

3/10
前へ
/174ページ
次へ
トゥクがあっという間に、ユンソルの頭を窓の下に押し込めた。M40A3は硝煙を吐き出しながら、ユンソルの膝の上に横たわる。トゥクは正直、鳥肌が立っていた。 あのムハサを呆気なく撃ち殺した。 しかも、距離は1300mあったはずだ。 M40A3の最高射程距離は800m。それを500mも伸ばした。 よく見れば、レミントンはカスタムされている。バレルは以前より10cm長くなっている。落ちている排薬莢を手にして、ユンソルを観た。 「弾、変えたのか?」 「ええ。 あれから、試行錯誤を重ねてカスタムしました。 でも、カスタムに関してはド素人ですから。 めちゃくちゃでしょう」 ムハサの頭を突き破ったことも納得できる。トゥクの手の中にあったものは、50口径の銃弾であった。 「一発だけ貰ったんです。 射撃部隊のときに、ダン副隊長から貰いました。」 「なぜ?」 「恒例なんですよ。 新人に渡すんです。」 思い出して、ユンソルは笑えてきた。 「自害用です。」 そのあとに残酷に告げられた言葉に、トゥクは息を呑んだ。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加