targets 16 頭首

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ユンソルはまるで我が子を抱きしめるかのように、レミントンを大事に胸にいだいていた。それはアジョウがやるような、銃身を撫でる行動にも似ている。しかし、アジョウを遥かに越える武器への敬愛を感じた。 「ユンソル。ナイスショットだ。」 集合してすぐに、エンが声をかけた。照れくさそうに、ユンソルは頭を下げている。トゥクも自分のことのように誇らしく思えた。 「まさか、ムハサが出てくるとはね。」 ルオメンも驚いて、死体を見下ろしている。ホアンはそんなルオメンに寄り添うようにして、死体を見回していた。 ユンソルは、噴水の前でリーとタジが話しているところを目にした。エンも視線の先に気づく。 「カバンの中身、見たか?」 「ええ。スコープ越しですけど、頭ですよね。」 「てっきり、ショッキングで吐いちまうかと 思ったんだけどな。 平気か?」 ユンソルはあっさり頷いた。 しかし、正直あの残酷な光景を目にした途端に全身に力がみなぎった。 「さっきから、 おふたりは何の話をしているんですか?」 遠目に見えるリーとタジを見ながら、ユンソルは聞いた。 「さっきソケが反応したらしいんだよね」 それに答えたのはエンではなく、チョルヒだった。小耳に挟んだらしい。 「どこのソケ?」 エンが聞くと、「ここから近い教会」と言って曇天を突き抜けているモスクの天辺を指さした。 「近いな。近すぎる。」 エンが呟いた。 「なんで、この騒ぎに来ないんだ?」 トゥクも疑問を口にした。 頭領が死んだというのに、静観できるのか? それともなにか企みがあるのか。 その時、ユンソルはエンの背後にある壁に気づいた。赤いレーザーの点が浮遊している。 「エンさん…!」 先に気づいたのはタジだった。 エンに飛びつくようにして、走ってきた。倒れ込んだ二人の上を弾丸が二発飛んでくる。ユンソルはすぐにライフルを抱き直した。 (あのモスク…) モスクの最上階にある窓からスコープライトが光って見えた。
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