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ユンソルはまるで我が子を抱きしめるかのように、レミントンを大事に胸にいだいていた。それはアジョウがやるような、銃身を撫でる行動にも似ている。しかし、アジョウを遥かに越える武器への敬愛を感じた。
「ユンソル。ナイスショットだ。」
集合してすぐに、エンが声をかけた。照れくさそうに、ユンソルは頭を下げている。トゥクも自分のことのように誇らしく思えた。
「まさか、ムハサが出てくるとはね。」
ルオメンも驚いて、死体を見下ろしている。ホアンはそんなルオメンに寄り添うようにして、死体を見回していた。
ユンソルは、噴水の前でリーとタジが話しているところを目にした。エンも視線の先に気づく。
「カバンの中身、見たか?」
「ええ。スコープ越しですけど、頭ですよね。」
「てっきり、ショッキングで吐いちまうかと
思ったんだけどな。
平気か?」
ユンソルはあっさり頷いた。
しかし、正直あの残酷な光景を目にした途端に全身に力がみなぎった。
「さっきから、
おふたりは何の話をしているんですか?」
遠目に見えるリーとタジを見ながら、ユンソルは聞いた。
「さっきソケが反応したらしいんだよね」
それに答えたのはエンではなく、チョルヒだった。小耳に挟んだらしい。
「どこのソケ?」
エンが聞くと、「ここから近い教会」と言って曇天を突き抜けているモスクの天辺を指さした。
「近いな。近すぎる。」
エンが呟いた。
「なんで、この騒ぎに来ないんだ?」
トゥクも疑問を口にした。
頭領が死んだというのに、静観できるのか?
それともなにか企みがあるのか。
その時、ユンソルはエンの背後にある壁に気づいた。赤いレーザーの点が浮遊している。
「エンさん…!」
先に気づいたのはタジだった。
エンに飛びつくようにして、走ってきた。倒れ込んだ二人の上を弾丸が二発飛んでくる。ユンソルはすぐにライフルを抱き直した。
(あのモスク…)
モスクの最上階にある窓からスコープライトが光って見えた。
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