targets 16 頭首

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「ユンソル。場所を変えよう」 距離が1300mはある。 トゥクの指示で、ユンソルはその場を離れた。モスクに近づくように茂みの中に入っていく。 茂みの中に入ったのは、彼らだけじゃない。 すぐに銃声と反射光を目の端で捉えた。枝葉が打ち砕かれていく。散り散りになる木々に揉みくちゃにされるように、ユンソルは視界を腕で覆った。 「左だ。敵が三人いる。」 トゥクの怒鳴り声が聞こえた。 ユンソルより先にトゥクが狙撃する。二人が撃たれて、一人は木の幹に隠れた。 また後方から彼らを狙う刺客がいる。ガサガサという足音が薄暗がりの茂みの中を走り回る。ユンソルは走り回りながら、ふと視界が白くなる感覚を覚えた。頭が割れるほどに、足音が大きく聞こえる。それなのに、トゥクの声はいっそう小さくなった。 左に二人いる。5時の方向だ。 ユンソルは立ち止まると、つんのめったトゥクを押しのけた。トゥクは枯葉の山に倒れ込む。ユンソルはライフルを前に持ち替えて、後ろを振り向き発砲した。 相手の小さなうめき声を聞く。 ザザザ…。 また足音が鮮明に聞こえる。 ユンソルの視界に人影がくっきり2人分映し出した。ユンソルはまた体の向きを反転させ、シルエットに向かって迷わず引き金を引いた。 乾いた銃声が茂みの中で響いた。トゥクは枯葉の上をなぞるように視線をあげる。額に穴が空いた死体が2つ並んでいた。ユンソルのライフルの銃口から煙が出ている。 「ああ…弾切れです。」 そういったユンソルは意味深に微笑んだ。その余裕の顔から垣間見える敵への侮蔑と冷酷さが、トゥクには化け物のように見えた。 誰かがいった。 "被験者は、 殺人に快楽を覚えるように作られている。 人間の皮をかぶった化け物だ"と。 トゥクは頭を振って、その声を薙ぎ払う。自分が見てきた青年ユンソルは、心優しい子だ。じゃあ、なぜこんなうわさが出る? ユンソルが歩兵にいた期間は短い。 その期間になにか、 問題行動を起こしたというのか?
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