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その年の夏。 父はユンソルのために遊び場を作ってやり、厩の横には的あてが作られた。一刻も早く悲しみから立ち直るために、子供たちの笑顔を観る必要があった。 木の枝とゴムでパチンコを作ってやり、ユンソルにあげた。ユンソルは的あてに齧り付くようになり、両親ともに微笑ましく見ていた。 厩の横には、父が大切に保管している倉庫がある。普段から立ち入り禁止にされていたが、ユンソルも子供心に覗きたくなり、ある日の夕方に忍び込んだ。 「うわ…」 ライフルが5挺、壁に立てられている。 銃弾の入った箱がぎっしり詰まっていて、ユンソルは倉庫の中を探検した。 それから重たいライフルを手に取り、恐る恐る銃身に触れてみる。 すると、父の所作を見ていたユンソルの体には沁み付いたように部位を動かし、仕掛けを理解することが出来た。 中途半端に開いた引き出しを開けると、山の地図があった。赤い目印があちこちについていて、それが熊の足跡であることを知った。 父はあれから少し足りとも立ち直ってはいない。 それが幼いユンソルにも、分かった。 家族の前では気丈に振る舞っているが、 本当は誰よりもその熊を討伐したいのは父である。ユンソルは地図をぎゅっと握りしめた。
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